日本脳炎 – 予防接種

1. 予防する疾患・感染症

名前は「日本」脳炎ですが、日本だけでなく、東アジア・東南アジア・南アジアと、広い地域で認められている感染症です。日本脳炎ウイルスは豚の体内で増殖し、その豚の血を吸った蚊が人を刺す際にウイルスを伝播します。日本脳炎ウイルスに感染しても、実際に脳炎を発症するのは100から1000人に一人の割合で、ほとんどは症状が出ません。

しかしながら、もし発症した場合は、けいれん、意識障害、不随意運動、麻痺など非常に重篤な神経症状を示し、死亡率は20〜40%と言われています。どの年齢層でもかかる可能性がありますが、幼少児や高齢者では死亡の危険は高くなり、命を取り留めたとしても、生存者の45〜70%に重度の精神神経学的な後遺症が残ります。シンガポールには豚がいないのでこの病気の報告はなく、定期予防接種の対象疾患にはなっていません。しかしながら、他のアジア周辺地域では蔓延していますし、日本国内でもまだ患者が出ていますので、シンガポールにいても基本的には接種を勧めています。

以前、古いタイプの日本脳炎ワクチン接種後にADEM(亜急性散在性脳脊髄炎)と呼ばれる神経障害が報告され、日本では2005年からワクチン接種を見合わせていた時期がありました。その後、新しいタイプのワクチンが開発され、2009年から予防接種が再開されています。世界的にはいくつかの日本脳炎ワクチンが存在しますが、当クリニックでは、日本で使っているのと同じジェービック(JBIC)®を取り寄せています。在庫管理上、接種をご希望の方はクリニックにお問い合わせください。

2. 日本:定期接種 シンガポール:任意接種

3. 接種時期および接種回数(ジェービック®)

日本の定期予防接種の規定では3歳から接種開始ですが、生後6ヶ月から接種を開始している地域もあります。I期とII期があり、I期は1〜4週間隔で2回、2回目の約1年後に3回目を接種し、これで基礎免疫がついたことになります。II期はI期終了後5〜8年後で1回接種します。小児期にII期まで終了している成人の方でも、日本脳炎の蔓延地域に長期滞在される場合は、さらに1回は接種することをお勧めします。

4. 接種方法(ジェービック®)

皮下接種

5. 効果の持続期間

I期のみだと5〜7年程度。II期後はかなり長期と言われていますが、具体的な数値は不明です。

6. その他

これまで、「日本脳炎ウイルスを媒介する蚊がいない」という理由から北海道だけは日本脳炎ワクチンの定期接種を行っていませんでしたが、北海道在住者が日本脳炎発生地域に移住する可能性は十分にあり、2016年より北海道でも定期接種が開始されました。幼少期を北海道で育った方で、今後この感染症の発生している地域に長期滞在される予定がある場合は、少なくとも3のI期を完了させることをお勧めします。

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