2018年度の文部科学省の学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満だった小学生は34.1%です。1979年度の統計に比し、約2倍になったそうです。また、0.3未満の児童も、9.28%もいたそうです。
近視が進行すると、子どものうちは眼鏡を買い替えるだけのことですみますが、近視が進みすぎると、大人になったときに緑内障や網膜剥離になるリスクが高くなってしまう、「病的近視」になる方もいます。このリスクを減らすには学童期からの治療介入が重要であると考えられています。
当院では2019年6月より、近視進行抑制治療効果もあるオルソケラトロジーを開始しました。特殊なハードレンズタイプのコンタクトレンズ(以下CL)を就眠中に装着しておくと、そのプレス効果で角膜頂点の形が平たく変形し、ピントが網膜上にあうようになり、起床後にCLを外すと、裸眼でも遠方がみえるようになります。
近視進行を予防したいお子様だけでなく、スキューバダイビングやトライアスロンなどのウォータースポーツをされる方や、裸眼でゴルフをしたい方、レーシックなどの手術治療に抵抗のある大人の方に特にお勧めです。
近年はオルソケラトロジーによる近視進行抑制治療がよい結果を示しており、日本眼科学会のガイドラインでも適応年齢が6歳まで引き下げられました。もちろん、全員に適応になるわけではないですが、ご両親がCLの扱いに慣れている方であれば、問題なく使用できます。
結膜炎や角膜炎をおこしたりするリスクもありますが、疑われる症状があるときには無理に装用せず、眼科医の診察を受けることで重度な合併症になることを避けられます。
安全に配慮した上で、お子さんの近視進行を緩めてあげたいですね。
医師 岡野 喜一朗