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イソジンガーグル

少し前に新型コロナウイルス予防にイソジンが効くという話がありましたね。イソジンでうがいをしてコロナ感染予防しましょうというお話です。

イソジンに含まれるポピドンヨードは代表的な殺菌消毒剤のひとつです。うがい薬だけではなく、皮膚表面の消毒にも使用されます。ならばイソジンでうがいをすればコロナの予防になるのではないかと思われるかもしれませんが、口腔内への影響も考えなくてはなりません。

イソジンは強酸性なので口の中に残った場合、酸蝕症(歯の硬組織が侵蝕されること)を引き起こす原因となります。歯のエナメル質はとても硬いですが、酸に弱いという特徴があります。口の中が酸性に傾くことにより、歯の表面のエナメル質が柔らかくなります。通常、唾液が酸を洗い流して中和してくれますが、口の中が頻繁に酸性になると、唾液の中和作用では追い付かずエナメル質が溶け始めます。イソジンのようなヨード系の洗口剤で頻繁にうがいをすると、エナメル質が溶けて着色を起こしてしまいます。いったん溶けてしまったエナメル質は元に戻りません。また、エナメル質が溶けた部分からむし歯が進行しやすくなります。

イソジンを使うことを否定しているわけではありません。イソジンを使うこと自体が悪いのではなく、使い方の問題です。イソジンでうがいをした後は、必ず口を水でゆすぐようにしましょう。そして歯を傷つけることなく、美しい歯を保ち続けましょう。

医師 畑 昌子