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子宮頸がんとHPV( ヒトパピローマウイルス)ワクチンについて2

前回、子宮頸がんの疫学、原因、予防についてお話ししました。今回はHPVワクチンについてお話しします。

日本国内で承認されているHPVワクチンは2価と4価の2種類があります。2価ワクチンは子宮頸がんの主要な原因となるHPV16型および18型に対するワクチンであり、一方4価ワクチンは16型・18型および尖形コンジローマの原因となる6型・11型の4つの型に対するワクチンです。
ワクチンはすでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。したがって、初めての性交渉を経験する前に接種することが最も有効とされています。HPVワクチン接種を国のプログラムとして早期に取り入れたオーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、HPV感染や前がん病変の発生が有意に低下していることが報告されています。
これらの国々では、ワクチン接種世代と同じ世代のワクチンを接種していない人のHPV感染も低下しています。(集団免疫効果といいます。)また最近のフィンランドの報告によると、HPVに関連して発生する浸潤がんが、ワクチンを接種した人たちにおいては全く発生していないとされています。

日本国内においても複数の研究が進行中です。新潟県、大阪府での研究では、ワクチン接種者におけるHPV感染率の低下がすでに示されています。
最近では9価のHPVワクチン(ガーダシル9)が登場し、当クリニックでも接種を開始しています。これは米国食品医薬品局(FDA)が2014年に9~26歳の男女への投与を承認していましたが、2018年10月には投与の年齢を27~45歳の男女にも拡大承認しました。HPVは子宮頸がんだけでなく、いくつかの別のがん種とも関連しており、男女ともに影響を及ぼすため、男性への投与も勧められています。

次回は日本でも話題となり、一時期接種停止となった副作用についてお話しします。
当クリニックにて9価のHPVワクチン接種を開始しています。9歳以上の娘さんをお持ちの親御さんで接種を検討されている方はお気軽にご相談ください。

医師 長谷川 裕美子