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卵巣腫瘍

卵巣は子宮の左右に一つずつあり、通常では親指ぐらいの大きさです。ここに発生した腫瘍が卵巣腫瘍です。卵巣腫瘍には様々な種類があり、その発生起源から表層上皮性・間質性腫瘍、性索間質性腫瘍、胚細胞腫瘍などに大別され、それぞれに、良性腫瘍、境界悪性腫瘍、悪性腫瘍があります。

卵巣腫瘍の症状には腹部膨満感、下腹部痛、頻尿などがありますが、卵巣は無言の臓器と言われ、小さいうちは無症状である多く、大きくなったり腹水がたまったりしてから症状が出現するので、健康診断などで見つかることが多いです。時に腫瘍が腹腔内で破裂したり、茎捻転といって腫瘍がお腹の中でねじれてしまうと突然の強い下腹部痛が出現することもあり、緊急手術になることもあります。

診断は通常、内診と超音波検査で行われ、卵巣腫瘍の有無を確認します。これにより良・悪性の診断もある程度可能です。超音波検査により腫瘍が嚢胞性(ふくろ状)の場合の多くは良性腫瘍ですが、充実性部分(かたまりの部分)と嚢胞性部分が混在する場合や全体が充実性の場合などでは悪性腫瘍や境界悪性腫瘍を疑い、MRI検査や腫瘍マーカーの測定を行います。これらの結果から総合的に良性腫瘍なのか悪性腫瘍や境界悪性腫瘍なのかを判断しますが、その精度には限界があり、最終的には手術で摘出した腫瘍の病理組織検査によって診断が確定します。

治療は手術療法が原則であり、悪性腫瘍の場合、その多くは術後に抗がん剤による化学療法が必要となります。良性腫瘍と診断された場合、腫瘍だけを摘出し、卵巣実質を温存する術式が選択される場合が多いです。また、最近では多くの施設で体への負担が軽い腹腔鏡下手術が行われています。境界悪性腫瘍の場合、開腹して子宮、両側の卵巣・卵管、大網を切除することが基本です。

さらに悪性腫瘍の場合、それに加えてリンパ節の摘出や腫瘍の拡がりによっては腸管や腹膜などの合併切除が必要となることがあります。ただし、境界悪性腫瘍や悪性腫瘍であっても、その種類や拡がり(進行期)によっては健常側の卵巣・卵管や子宮を温存することが可能な場合がありますので、以後の妊娠・出産を希望している方は、担当医とよくご相談下さい。

医師 長谷川 裕美子