初めて抜けた乳歯はどうするの?
2022年3月29日
TFCC損傷
2022年4月12日

COVID―19ワクチン と月経周期、月経期間(月経日数)の関連について

COVID―19のワクチン接種が開始して以降、不正出血や月経痛、月経周期の乱れを主訴に受診する方が一時的に増えました。当時はまだワクチン接種が始まったばかりでその影響を証明するにはデータ不足でしたが、最近になって少しずつ研究データの報告が掲載されるようになってきました。今回、コロナワクチン接種後の月経周期と月経期間(月経日数)の変化についての論文を簡単にまとめます。

方法はアプリケーション 「Natural Cycles」を用いて、18―45歳の米国在住者で正常な月経周期(24―38日)の人を対象に、初回ワクチン投与前に3周期、その後ワクチン投与後3周期、ワクチン非接種の場合は同様の期間に6周期をプロスペクティブに追跡し、月経周期と月経期間の長さの平均的な個人内変化を算出し、データを分析しました。

対象は3959人(ワクチン接種群2403人、非接種群1556人)。ワクチン接種群の内訳はファイザー・バイオンテック社55%、モデルナ35%、Johnson & Johnson/Janssen7%でした。

結果は全体として、COVID―19ワクチンは、ワクチン接種前の月経周期と比較して、ワクチン投与周期の月経周期の長さに1日未満の変化をもたらしました(初回投与0.71日増、2回目投与0.91日増)。ワクチン非接種群は、ベースライン3周期と比較して有意差はないことが示されました。調整モデルにおいても、ワクチン接種群と非接種群の月経周期の長さの変化の差は、両投与群で1日未満でした(変化の差:ワクチン1回目0.64日増、ワクチン2回目投与0.79日増)。一方、月経期間(月経日数)の長さの変化は両群間に有意差はなく、ワクチン接種の有無と関連はしていませんでした。

今回の論文の結論として、COVID―19ワクチン接種は、月経周期の長さはわずかに変化するが、月経期間(月経日数)の長さに変化はないといえます。
その他、不正出血や月経痛に関して、今後さらなる研究データが出てくるとは思いますが、不正出血や月経不順などは日常でストレスを強く感じていたり、風邪で高熱が出たりしても起こり得ますし、COVID―19ワクチン以外のワクチンでも投与後にこのような症状の報告はあります。また、これらの症状は一時的であり、将来の妊娠に影響が出たり不妊の原因になるような科学的根拠はないと厚生労働省も明記していますので過度な心配は必要ありません。

医師 長谷川 裕美子