今回は、外来でもよくご相談のある不妊検査・治療について説明したいと思います。
先進国では晩産化やキャリア形成指向、その他の理由により妊娠する女性の年齢が上昇し、より早期に適切な不妊治療を受けることが必要であることから、日本産科婦人科学会は「不妊とは生殖年齢の男女が妊娠を希望し、避妊することなく1年ほど性生活を行っているのに妊娠しない場合」と定義しています。
また、2022年4月より不妊治療のの保険適応が始まりました。
以前に比べると最近はテレビで特集が組まれたり、芸能人が不妊を告白したりと不妊治療に対しての抵抗感は薄れ、友人同士でもお互いが不妊治療中であると相談したり、情報をシェアしたりできる時代になってきました
反面、不妊症の検査・治療に関する情報が氾濫し、きちんと意味を理解しないままに治療を受けている方も少なくありません。そこで少しでも理解を深めていただくために、何回かのシリーズに分けて投稿していきたいと思います。
とは言っても、まだまだ産婦人科を受診することに抵抗を感じる方は少なくないでしょう。やはり「恥ずかしい」、「痛そう」、「何をされるかわからないから怖い」、「不妊治療は高そう』というのが正直な気持ちだと思います。
まずシリーズ初回の今回は産婦人科を受診する前に自分でできることです。自分の生理周期をきちんと知ることが大事です。そのために基礎体温表をつけましょう。基礎体温は朝、目が覚めたら起き上がる前に婦人体温計で舌下の温度を測り、グラフにつけていきます。生理日や、性交渉を持った日、おりものが気になる日などを日記感覚で記していきます。最近は携帯のアプリで簡単に管理できます。神経質になる必要はありません。たまに忘れてしまっても大丈夫です。それを2-3ヶ月くらい続けていただくと、そのグラフから分かる情報はたくさんあります。生理周期、排卵の有無、ホルモンバランスなどです。積極的に子作りしている方はもちろん、来年くらいには赤ちゃんが欲しいなと思っている方も基礎体温表をつけていただいて、そろそろ産婦人科に相談してみようかなという決心がついた時にぜひそれを一緒にお持ちください。ちなみに、最初の受診のタイミングとしては生理5日目くらいまでに来ていただくとその日に女性ホルモンの検査もできるのでおすすめです。
次回からは不妊検査についてお話しします。
医師 長谷川 裕美子