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赤ちゃんがほしい7(体外受精1)

前回までは不妊治療における最初の段階である、<1>タイミング法、<2>人工授精についてお話しました。
<1>  タイミング法
<2>  人工授精
<3>  体外受精、顕微授精
今回より<3>の体外受精、顕微授精についてお話します。

ご存じの通り日本では2022年4月より不妊治療が保険適応となりました。
2024年8月に発表された2022年の日本国内の体外受精実績では、1年間に54万3630件で過去最多、そのうち7万7206人の子供が生まれました。2022年の総出生数は約77万7人ですから体外受精による子供の割合はまさに10人に1人となります。年齢別では42歳が4万6095件で最も多く、39歳、40歳と続いています。

体外受精を行う絶対的な適応には以下のようなものがあります。
【1】  精子が極端に少ない男性因子
【2】  両側卵管を手術などで切除している、または卵管の閉塞や狭窄があるなどといった卵管因子
しかしそれ以外で、全体の不妊症の2分の1から3分の1に相当するといわれている原因不明不妊症の場合も最終的な選択肢として体外受精があります。体外受精では、採卵(卵子を身体の外に取り出すこと)することで今までのスクリーニング検査ではできなかった「卵子の質」を検査することができ、また受精の有無やその状態を確認することができる、いわば原因不明不妊症に対する最終的な検査にもなります。ですので、検査としての意味合いで体外受精を行う場合もあります。一度ステップアップをすると戻れないのでは、と考えている方も多いようですが、このように検査目的で体外受精をして卵子や受精に問題なければまた元に戻す(ステップダウン)することも可能です。ただ当然ながら「卵子の質」は年齢とともに落ちていきますので時期を見極めることはとても大切です。

次回も引き続き体外受精についてお話します。

医師 長谷川 裕美子