むし歯になりやすいかどうかは、歯質、むし歯菌、食事などの要素によって決められます。
1.歯質
歯は形や歯並び、唾液の質によってむし歯になりやすいかどうかが左右されます。たとえば、歯の溝が深く複雑な形をしていたり歯が重なり合って生えていたりすると、食べかすが残りやすく歯ブラシの毛先が届きにくいので、むし歯のリスクが高くなります。唾液には歯の汚れを洗い流したり、歯を溶かす酸を中和させたり、溶けた歯を修復する働きがありますが、この唾液の分泌量や質も個人差があり、むし歯のリスクにも影響します。他にも酸で溶けにくいエナメル質の厚さや歯の表面の状態、歯ぎしりや口呼吸、ストレスなど、歯を取り巻く環境は人それぞれ異なるので、むし歯になりやすいかどうかはかなり個人差があります。
2.むし歯菌
むし歯を作りだすむし歯菌は、多くの人の口の中に存在します。菌の数が多い人ほど、むし歯になるリスクは高くなります。むし歯菌は歯垢を作って歯の表面に住みつき、糖分を取り込んで酸を作りむし歯を作ります。
3.食事
食事については、食事の時間と、どんなものを食べているかがポイントです。時間を決めずに1日中だらだら食べている人は、口の中が常に酸性に傾くので、歯がどんどん溶けていき、唾液が歯を修復するのが追いつきません。
歯の形や歯並び、唾液の性質や分泌量は、簡単に変えることができません。でも、「しっかり歯磨きをする」、「ダラダラ食べず、甘いものは控えめにする」、「よく噛んで唾液を分泌させる」などライフスタイルを見直すことで、むし歯のリスクは減らすことができます。
歯科医師 畑 昌子