エナメル質は体の中で最も硬い硬組織です。乳歯と一部の永久歯(前歯と6歳臼歯)は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間から作られます。胎生7週頃から歯が作られ始め、胎生14週頃から石灰化が始まります。この歯が形成される時期に、何らかの原因でエナメル質がうまく形成されないことがあります。このエナメル質の形成障害により、エナメル質の下の象牙質が露出して茶色や黄色の歯が生えてくることがあります(エナメル質減形成)。
これらの変化の現われ方は、障害を受けた歯の発育時期や障害の種類、強さなどによって異なり、エナメル質形成の初期であればあるほど、また、障害が強いほどエナメル質の変化が顕著に現われるといわれています。
エナメル質減形成の原因としては
・局所的原因(乳歯のむし歯がひどかった場合や乳歯が外傷を受けた場合など)
・全身的原因(エナメル質形成期の栄養障害、ビタミン不足、ホルモン異常など)
などが挙げられます。
エナメル質減形成の歯は、ブラッシングと定期的なフッ素塗布でむし歯を予防することが大切ですが、見た目が悪くむし歯にかかりやすいので、必要に応じてむし歯と同じ処置を行うこともあります。
歯科医師 畑昌子