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抜歯のタイミング

歯や歯ぐきの痛みや腫れの多くは突然やってきます。はじめは違和感程度の軽度な痛みでも、徐々に悪化して痛みに耐えられなくなるケースもあります。
口腔領域で「痛み」や「腫れ」と表現するものには、歯周病の急性発作、親知らず周囲歯肉や歯根の先端部分の急性炎症、歯の神経の痛みなど様々なものが存在しています。抜歯は痛みを取り除く最終手段で出来れば避けたい選択肢ですが、状況によっては抜歯以外に根本的に解決できない場合もあります。
炎症が強く出ている状況で歯を抜いてしまうと、その刺激によって炎症が拡散し悪化してしまうことがあります。また炎症のため、麻酔が効きづらくなることも知られています。痛みを早く鎮め、かつ通院回数を出来るだけ減らしたいと願う患者さんの気持ちはとてもよく理解できますが、歯科診療の原則はまずは炎症を落ち着けてから、本当に抜歯するべきか治療により歯を残せるかどうかを見極めていくというところにあります。
急に襲ってくる痛みは避けようがなくても、定期的に歯科を受診するように心がけて痛みの原因になりそうな歯の治療を受けておくなど、日頃からリスク低減の行動を講じておけるとよいですね。日本に住んでいた時は数か月に一度は歯科に通って口腔メンテナンスを受けていたけれども、シンガポールに赴任して1年以上歯科にはかかっていなかったという声をよく聞きます。シンガポール在住中のかかりつけ歯科を確保しておくと安心ですよ。

医師 畑 茂