歯が痛い時は口全体に痛みが広がり、どの歯が痛いのかわからなくなる時があります。どちらかというと前歯はどの歯が痛いか分かりやすいのですが、奥になるに従い分かりづらくなります。例えば下の奥歯にむし歯があって痛みの原因となっていても、上の奥歯が痛いと錯覚を起こすことも珍しくありません。
この原因は顔面の知覚、運動をつかさどる三叉神経という大きい神経が関係しています。この神経は枝のように分かれており、この枝分かれした神経が上の歯と下の歯を支配しています。どこが痛みの原因か分からなくなるのは、痛みが強くなってくると同じ神経からでてくる信号を脳自身が正確に判別できなくなっているからです。
強い痛みになればなるほど診査や診断、治療は困難になっていきます。歯の痛みは少ないうちに歯科医院にいきましょうね。
歯科医師 伊藤 明雄