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脂質異常症(高脂血症)の治療 薬物療法

脂質異常症はsilent diseaseといわれ、血中脂質が異常に増加してもほとんどの場合において自覚症状がないのが特徴です。しかし、血中脂質が高い状態が続くと、動脈硬化が進行し狭心症、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中にかかる危険性が高くなります。脂質異常症の治療の基本線は、「食事療法を中心とした生活習慣の改善」と「薬物治療」が二本柱となります。

一般的に食事、運動療法などの生活習慣の改善を数ヶ月間行っても数値が目標値まで改善しない場合は薬物治療の適応となります。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い患者さんの場合はスタチン製剤という薬を使います。この薬は肝臓においてコレステロール合成を阻害して作用します。脂質異常症の治療薬の中で、LDLコレステロール値を最も効果的に下げる薬として、広く使われています。トリグリセライド(中性脂肪)値を下げる効果もあります。飲み始めて1ヶ月もすればLDLコレステロール値が劇的に下がります。しかし、病気が治癒したわけではないので薬の継続が必要です。肝機能障害や稀にですが横紋筋融解症という副作用が生じることもあるので医師の指導のもとに治療を継続することが重要です。代表的な商品名としてはリピトール、クレストール、リバロなどがあります。
主にトリグリセライド(中性脂肪)が高いタイプの患者さんの場合は、フィブラート系製剤を使用します。肝臓でトリグリセライド(中性脂肪)が作られるのを抑えたり、トリグリセライドの分解を促進する薬です。HDLコレステロール(善玉コレステロール)値を上げる効果もあります。代表的な商品名としてはベザトールSR、リピディルなどがあります。これらの薬物治療は、継続することにより動脈硬化の進行を抑制し狭心症、心筋梗塞などの心臓病や脳卒中のリスクを減らすことができます。

自己中断はせずに医師の指導のもと治療を行ってください。

医師 中澤 哲也