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高血圧症の治療(1)

高血圧の治療には、薬物療法と非薬物療法がありますが、脳心血管リスクの程度に応じて段階的にすすめられます。高血圧以外の脳心血管リスクとしては糖尿病、慢性腎疾患(CKD)、臓器障害/心血管病、メタボリック症候群などがあります。本態性高血圧で他の脳心血管リスクがない場合は、まず生活習慣の改善を3ヶ月程度行います。

改善項目としては以下が挙げられます。

  • 減塩
    塩分摂取量を1日6グラム以内とする。これは日本人の平均摂取量の約半分です。塩分を摂り過ぎると循環血液量が増加し血圧が上がります。
  • 食塩以外の栄養素に関して
    野菜、果物、魚を積極的に摂る。コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。
  • 減量
    体格指数(BMI)を25未満を維持する。
  • 運動
    心血管病のない高血圧患者が対象で、中等度の強度の有酸素運動(早歩きや、ゆっくりと泳ぐ水泳や水中歩行、ゆっくりとしたサイクリング)を中心に定期的(毎日30分以上を目標に)に行う。
  • アルコール制限
    エタノール量で1日30ml以下に制限する。これはビール大瓶1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯程度に相当します。
  • 禁煙

以上の生活習慣の改善を3ヶ月程度行っても血圧が140/90mmHg以上の場合は薬物治療の併用を考慮することとなります。ただし、脳心血管リスクが高い場合は初めから薬物療法を行うこともあります。

医師 中澤 哲也