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「生活習慣病」治療の注意点

「生活習慣病」治療の一番の注意点として、「治療を絶対に自己中断してはならない」ということがあげられます。「生活習慣病」とは、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、肥満、高尿酸血症など、生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている疾患の総称です。これらの疾患の特徴として「大きな自覚症状がみられない」ことがあげられます。そのためせっかく始めた治療を途中で中断してしまう患者さんが時々見受けられます。しかし、特に糖尿病、脂質異常症、高血圧症、肥満の4つの疾患はサイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれ、適切に治療をしていないとある日突然、心筋梗塞や脳卒中などの合併症を起こすことがある怖い病気です。

糖尿病の治療を中断した一例をあげます。45才男性、10年前に糖尿病と診断され薬物治療を開始したが、自覚症状もなく5年前から治療を中断していた。健診で糖尿病の状態が非常に悪くなっていることを指摘され当院を受診しました。平均の血糖を表すヘモグロビンA1cが11%と非常に高値(正常は6.2%未満)で、眼底出血や腎臓の合併症も中程度みられました。その後、薬物治療を再開し血糖コントロールを行っています。また、合併症に関しても専門医と共に経過をみることになりました。この症例は、治療を中断したために血糖の悪化に気付くことなく経過し、糖尿病合併症の発症に至ってしまったケースです。

以上、糖尿病の例をあげましたが、高血圧症や脂質異常症などでも治療の中断は将来的に取り返しのつかない状態に陥る可能性がありますのでご注意ください。

医師 中澤 哲也