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子供たちを取り巻く環境変化と近視の関連

親として子供の近視は気になるものですよね。特にご両親共に近視である場合のお子さんが近視になるリスクは8倍とも言われています。文部科学省の報告によると、裸眼視力(1.0)未満の小学生は46%、中学生は74%、高校生は91%と、学年が上がる毎に増加しています。人類の歴史上、遠くの獲物を発見し獲得することで生き抜いていた狩猟生活と比して、机上の文字や数字を認識することで生活が成り立つ現代において、「眼の近視化」は生物の環境適応変化かとさえ思われるほど高い割合です。
「たかが近視、されど近視」です。子供達にとっては近視の進みが早く、眼鏡やコンタクトの度数を頻繁に変えなければならないという今直面している問題よりも、実はそれが将来強度近視に進行し成人になって緑内障、眼底出血や網膜剥離になるリスクが高くなってしまうことの方がずっと大きな問題です。日本の失明原因の第4位は、近視がより強く進んだ「病的近視」が原因です。もちろん近視の全てが強度近視になるというわけではないのですが、強度近視の可能性を減らすには小児の早い時期からの介入が重要であると考えられています。
年1回の学校検診を過信しすぎず、お子様が少しでも「みえづらい」「目を細めてテレビをみている」などの様子を見つけたら、眼科健診をお勧めします。古い迷信では眼鏡をかけることが眼を悪くする(近視が悪化する)とか、眼鏡を外したり掛けたりすると眼が悪くなるといったような話がありましたが、医学的には何もエビデンス(科学的根拠)はありません。むしろ、弱すぎる眼鏡をかけることは、近視を悪化させるとのデータも出ています。
当院では近視進行抑制治療の一番効率が良い、0.01%アトロピン点眼も処方可能です。お子様の良好な裸眼視力を残せるよう、気をつけてあげてみてください。

医師 岡野喜一朗