シンガポールでは屋内でも屋外でも裸足で過ごす人が多いためか、足の裏のトラブルで受診される患者さんが日本よりも多いように思われます。代表的な症状は以下の通りです。
1 外傷(ケガ)
プールや海などの屋外では木の枝や小石、砂、貝殻などで足の裏を傷付けてしまうことがあります。
コンドミニアムのウッドデッキなどでも、ささくれ立った木片が小さな棘(トゲ)として足裏に刺さってしまうことがあります。ウォーターシューズやマリンシューズを上手に活用しましょう。
また屋内では割れたコップや電球などのガラス片が足の裏に刺さってしまうことも少なくありません。
日本では畳や絨毯が多いためコップなどを落としても簡単には割れませんが、シンガポールでは大理石などの硬い床材が多いため、ちょっと手を滑らせただけで粉々に砕け散ってしまいます。
涼しくて気持ちが良いからという理由で家の中でも裸足で生活している方が多いようですが、なるべくならスリッパなどの室内履きを着用した方が足裏のケガを未然に防ぐことができます。
2 タコ・ウオノメ
タコやウオノメは慢性的な圧迫刺激が加わることにより角質が硬くなって形成されます。
靴のサイズや形状・歩き方・皮膚の乾燥・加齢や痩せによる皮下脂肪の減少など様々な要因が影響しますが、シンガポールでは特に硬い床材やサンダルの多用が足への負担を増しているものと考えられます。
室内履きを着用することや、スニーカーのような靴底にクッション性のある履物を選ぶことが重要です。
また日頃から保湿をして皮膚の柔軟性を高めておくようにしましょう。
3 イボ
イボの中にもいくつか種類がありますが、足の裏によくできるイボは「ヒト乳頭腫ウイルス」と言うウイルスの一種が皮膚に感染してできるイボです。ヒト乳頭腫ウィルスにはたくさんの種類があり、完璧な予防法というのはありませんが、小さな傷や炎症がある部位からウィルスが侵入しやすいため、皮膚を健常な状態に保つことが予防策となります。保湿を心掛け、ささくれや小さな傷がないか確認をしましょう。
上記以外にも、シンガポールでは冷房が強過ぎる場所が多いため裸足で長時間過ごしていると循環が悪くなりがちです。冷え症やむくみの原因にもなるため、室温や環境に応じて服装を調節しましょう。
自宅ではラグマットやコルクマットを敷くなどの工夫をすると、冷えの予防や足への負担軽減だけではなく、お子さんが転倒した際のケガを防ぐ効果も期待できます。
医師 大木 理香