色素性痒疹(しきそせいようしん)は1971年に報告された比較的新しい疾患です。
胸や背中などの上半身を中心に赤茶色の色素沈着を伴う発疹が左右対称に出現し、強いかゆみを伴います。ダイエットをしている若い女性に多く、特に最近流行の「糖質制限ダイエット」などで厳格にカロリー制限をしている人に発症するケースが多いようです。
ではダイエットと痒疹がどのように関係しているのでしょうか?
実は色素性痒疹の病因はまだ詳しく解明されておりません。しかし糖尿病やペットボトル入りの甘い飲料の多量摂取、そして急激な食事制限によるダイエットで体がケトーシス(高ケトン血症)に傾くことと強い関連性があると指摘されています。何事もやり過ぎは禁物です。
作用機序は明らかになっておりませんが、治療には抗生剤のミノサイクリン内服が有効です。その他に抗アレルギー剤内服を併用することもありますが、一番重要なのは食生活の見直しです。
ダイエットを中止しただけでも改善した例があります。極端なカロリー制限をやめてバランスの良い食事を心がけてください。
医師 大木 理香