私たちの鼻は、日常生活でさまざまな刺激にさらされています。花粉、ホコリ、細菌、ウイルス、そして化学物質などが私たちの鼻に入り、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を引き起こすことがあります。そんな鼻の健康を保つために、近年、鼻うがいが注目を浴びています。
鼻うがいは、生理食塩水などを使って、鼻の中を洗い流す方法です。鼻うがいをすることによって、鼻に侵入したアレルゲンや汚れを除去し、鼻の粘膜を清潔に保つことができます。これまでの研究で、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状を緩和する効果が確認されています。新型コロナウィルス感染症に対しても、その有効性が注目されていました。
鼻うがいの歴史は古く、古代ローマでも一般的な健康法として実践されていました。彼らは、食塩以外にハーブやワインなども洗浄液に加えて行っていたそうです。現代においては、SNSで鼻うがいに関する多くの動画を見ることができます。
もちろん、鼻うがいは正しい方法で行うことが重要です。専用の器具や、市販の洗浄液を使うことで、適切な水圧と温度で安全に鼻の中を洗浄することができます。また、クリニックで自身の鼻の状態や洗浄の頻度について、アドバイスを受けることも大切です。
鼻の形や状態によっては、鼻うがいが適切でない場合があります。例えば、鼻の中にポリープがある場合や、鼻の粘膜が非常に敏感な場合は注意が必要です。また、正しい方法で行わないと、鼻や耳に損傷を与える可能性もあります。
最後に、鼻うがいは様々な鼻炎に対して有効な方法であるとされていますが、その効果には個人差があります。科学的な根拠はあるものの、完全に解明されているわけではありません。したがって、鼻うがいを行う際には、医師の指導を受け、適切な方法で行うことが大切です。
当科では、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の患者さんに積極的に鼻うがいを勧めています。専用の器具を処方し、安全に行うことができるよう、指導もしています。小学校低学年くらいのお子さんでも練習すれば可能です。鼻の症状でお困りの方は、ぜひ相談しに来てください。
医師 高木 太郎