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眠れぬ夜は ダニのせい?

シンガポールは、一年中暑くてジメジメしている気候のため、家の中にダニが増えやすい環境です。実は、シンガポールに住んでいる方の約4割がダニによるアレルギーを持っているといわれています。これは日本の約2倍にあたります。そのため、「シンガポールに来てから鼻がムズムズする」「夜になると鼻がつまる」といった声をよく耳にします。

ダニは、ふとん、まくら、カーテン、ぬいぐるみなどにひそんでいます。特に夜、寝ているときに症状が出やすいのが特徴で、鼻水や鼻づまりによって眠りが浅くなってしまいます。小さなお子さんはうまく症状を伝えられないため、見過ごされてしまうことも少なくありません。睡眠の質が下がると、免疫力の低下や、子どもの場合は学業への影響も心配されます。

実は、アレルギーの原因になるのはダニそのものではなく、フンや死がいです。これらが空気中にまい上がり、気づかないうちに吸いこんでしまうのです。ちなみに、ホコリ1グラムの中には、なんと2000匹以上のダニがいることもあるとか・・・。
ホコリ1グラムがどれくらいかよくわかりませんが、少しゾッとしますね。

ダニ対策としては、まず「ダニを減らすこと」と「フンや死がいを取りのぞくこと」が大切です。ふとんを干せば安心と思いがちですが、日光だけではダニは死にません。繊維の奥にかくれているため、高温の乾燥機や布団乾燥機でしっかり熱を加えたあと、掃除機や洗濯でしっかり除去するのが効果的です。

それでも症状が続く場合は、まず内服薬や点鼻薬で症状をやわらげます。ただし、これらは根本的な治療ではありません。継続的な治療が必要な方には、「舌下免疫療法」という選択肢もあります。体を少しずつダニに慣らしていく方法で、根本からの改善を目指すことができます。

ちなみに、ダニにとって人のふけや皮膚のカスはごちそうらしいです。
アレルギーさえ引き起こさなければ、平和に共存できたのかもしれません。

医師 高木 太郎