眼科 – 近視の治療

近視の治療


近視とは

近くは見えますが、遠くが見えにくい眼の状態です。眼の構造(下図)でご説明しますと、物がはっきりと写る眼の内面(網膜)で焦点が合わず、その手前で焦点が合っているのです。その焦点のずれを眼鏡やコンタクトレンズなどで補正し、網膜上でピントが合うことで遠くがよく見えるようになります。

近視の進行

近方作業を続けることで眼の中のレンズを厚くする筋肉(毛様体)が緊張し続けている状態(仮性近視)が初期段階と考えられています。次に、眼の奥行(眼軸)が長く伸びるか(軸性近視)、眼の中のレンズが膨らんだまま元に戻らなくなり(屈折性近視)、近視が進行していきます。大部分は軸性近視で、屈折性近視は稀です。

学童期の近視の進行は、

(1)遺伝の影響がある
(2)都市部では比較的早い
(3)IQや学力が高いほど早い
(4)近方作業時間が長いほど早い
と大規模な調査で上記のような結果がでています。


出典:http://www.me-kaiteki.com/refraction-accommodation/myopia/

近視は万病のもと

日本人の近視人口は、大規模調査の結果41.8%と報告されています。近視が進行し過ぎると、メガネやコンタクトレンズの度数を頻回に変えていかねばならない以外に、病的近視(全人口の5.5%)に発展してしまう可能性があります。病的近視眼では、眼球が奥に伸長し網膜が薄く引き延ばされるため、黄斑部や視神経のある眼球後壁が後部ブドウ腫といわれる凸状態になり、緑内障や網膜剥離などの深刻な眼疾患につながる可能性が高くなります。

 


出典:http://www.mcnv-eye.com/disease/about_mcnv/

近視進行抑制治療

学童期の子供たちは、黒板の字の見えにくさから近視を自覚したり、学校検診で視力低下を指摘されることが多いです。席を前のほうにしても見えづらい場合は、裸眼視力は0.2〜0.3と言われているので、できるかぎり早期から治療を開始することが望ましいと考えられています。そこで、眼が大きくなる(眼軸長が伸びる)ことを抑える治療法が近視進行を抑制するということが長年の臨床研究で実証されてきました。

アトロピン点眼は、眼軸長を伸展させる働きに関連するムスカリン受容体をブロックする効果があると報告されています。これを低濃度(0.01%)にすることで副作用を回避し安全に治療できることがわかってきました。点眼以外の近視進行抑制治療としては、オルソケラトロジー(ナイトコンタクト)やMC(Myopic Control)メガネなどもあり、それぞれ、医学的根拠(エビデンス)が報告されています。

上記治療法については外来受診時に、医師にご相談ください。近視が進行しやすい、15歳頃まで加療が奨励されています。

眼科受診と検査の流れ

●オーチャード分院にお電話にて“視力検査と治療法についての相談を希望”とお伝えしていただきご予約をお願いします。

●適応検査を行い、視力低下の原因(近視、遠視などの屈折異常、弱視、斜視など)を確認し、現状のご説明と将来予測をした上でどのような治療が適切かを判断します。

●オルソケラトロジーやソフトコンタクトレンズの適応があり、加療をご希望の方には購入方法についてのご案内と今後の経過観察スケジュールをお伝えします。

●検査と診察には比較的時間を要しますので、原則的に診察予約をしてご来院ください。

 

1. 0.01%アトロピン点眼治療

シンガポール国立眼科センター(SNEC)は、0.01%アトロピン点眼は近視の進行を平均40〜50%軽減する効果があると報告しています。毎日就寝前に1日1回1滴点眼するだけの簡易な治療法です。

副作用

日本でも副作用調査が行われましたが、重篤な副作用はありません。アトロピンは、瞳孔(黒目)を大きくしたり、ピント調節する筋肉を麻痺させるなどの効果があるので、点眼後にまぶしい、手元がみえづらいなどの症状が生じる可能性はあるのですが、低濃度ではこれらの症状はほとんど出現しないと報告されています。しかし、特に薬剤開始時はアレルギーや顔面紅潮、頭痛、嘔吐などの症状がでないか留意する必要があります。

 

 

2. オルソケラトロジー(ナイトコンタクト)
~夜ハードコンタクトをつけて寝るだけで、朝になり裸眼でみえる喜び~

就眠前にハードタイプのコンタクトレンズを装着し起床時に外すだけで、日中の眼鏡やコンタクト装用が不要となります。

 

 

このような方におすすめです

  1. 視力矯正以外に近視進行抑制効果も希望される6歳以上のお子様
  2. 裸眼でスポーツ(ゴルフ、トライアスロン、スキューバダイビング、ダンス、バレエなど)を楽しみたい方
  3. レーシックなどの手術療法に抵抗がある方
  4. 中等度以下の近視があり、日中の眼鏡やコンタクトレンズの煩わしさから解放されたい方

3 近視抑制ソフトコンタクトレンズ 1dayタイプ
~近視抑制効果が得られる使い捨てソフトコンタクトレンズ~

小学生の49%は近視があると報告されています。軽い近視であればよいですが、強度近視になってしまうと、将来緑内障や網膜剥離を引き起こす「病的近視」にもなる可能性があります。シンガポールは、近視治療の世界的先進国です。近視進行抑制ソフトコンタクトレンズが認可されています。北米、欧州でも販売になっており、日本でも治験が進んでいる段階です。
通常のコンタクトレンズに比べ、3年間で近視進行を60%抑制するという報告があります。
オルソケラトロジーによる近視抑制効果とほぼ同等ですが、ハードコンタクトレンズの装着が難しいお子様、アレルギー性結膜炎になりやすいお子様などには推奨されます。

 

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