アキレス腱は、ダッシュやジャンプなどの急激な動作でふくらはぎの筋肉が収縮した時や、着地などで急に筋肉が伸ばされた時に断裂します。30代から50代のスポーツを行う方が多く受傷され、受傷機転はバレーボール、テニス、バドミントン、ソフトボール、サッカーなどが多い印象です。
受傷時にはアキレス腱が切れたという感覚よりも、「ふくらはぎを何かで叩かれた」「後ろからボールが当たった」という感覚のほうが近いこともしばしばあります。アキレス腱が切れても歩行は可能ですが、つま先立ちをすることが難しくなります。断裂部分は外から触れることが可能で、凹んだ部分があればそこが断裂部位であり圧痛もみられます。それだけでも診断はつきますが、超音波で確認することも可能です。レントゲン検査では何ら異常がないことがほとんどで、ほぼ意味がありません。
治療は、断裂したアキレス腱を手術で縫合する方法と、手術を行わずギプスや装具で腱の修復を目指す保存療法とがありますが、シンガポールに住んでいる方はほとんどがお若く活動性が高い方なので、多くの場合は手術をお勧めしています。手術療法のほうが腱をしっかり繋ぐことが出来、再断裂のリスクも低いからです。それでもスポーツへの完全復帰は半年くらい様子をみたほうが良いとされています。
医師 長谷川 典子