ヒアリ(ファイヤーアント)に刺されると酷いアレルギー反応・アナフィラキシーが起こることがあり、その被害が大きく報道されています。米国で年に100名ほど死亡しているという話がありますが、これはハチなどを含むデータのようで、実際にヒアリでアナフィラキシーを起こす人はそこまでは多くないようです。よく分からないものについては、人はリスクを大きく見積もってしまうことも多いのですが、正しい情報が入り次第修正していくしかありません。
実際にハチでのアナフィラキシーは起こりえますし、食物が原因のアナフィラキシーと比較して短時間で重症になることもあるので、スズメバチ、アシナガバチに刺されたことがある人は是非今後のことを医療機関で相談してください。
アナフィラキシーに関しては、食物だけでなく、薬剤や造影剤などが問題になることがありますし、ペットのハムスターに何度も噛まれてアナフィラキシーというのもあります。変わったアナフィラキシーとしてはクラゲ刺傷を繰り返しているダイバーやサーファーなどでポリガンマグルタミン酸(PGA)に対してアナフィラキシーを起こすという報告があります。PGAは納豆のねばねばに含まれる成分なので、吸収されるのに時間がかかるので、納豆を食べて数時間してから激しい反応を起こすことが知られています。PGAはポリグルタミン酸とかγ-PGAという表記でさまざまな加工品に利用されており注意が必要です。
医師 林 啓一