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機能性ディスペプシア(Functional Dyspepcia:FD)

今回は、機能性ディスペプシア(FD)についてお話します。あまり聞きなれない病名だと思いますが、近年注目されている疾患です。

機能性ディスペプシア(FD)とは?
機能性ディスペプシア(FD)とは、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や採血検査などで問題がないにもかかわらず、慢性的な上腹部痛や胃もたれなどの上腹部症状を呈する疾患のことです。比較的新しい概念なのですが、上腹部症状を訴えて病院を受診した患者さんのうち、半数近くにFDが関与しているとの説もあります。

原因は?
FDの原因ははっきりしていないのですが、胃の運動機能の異常や、内臓の知覚過敏、ストレスなどの自律神経・社会心理因子などが関係しているのではないかと考えられています。

診断は?
FDが疑われた場合には、他に症状の原因となる疾患(胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんなどの悪性腫瘍、膵炎、胆嚢炎など)を有していないことを確認することで、FDであると診断します。具体的には、採血や上部消化管内視鏡検査、場合によっては腹部超音波検査や腹部CT検査などを行なうことになります。ただ、すぐに内視鏡検査などができない場合で、著しい体重減少や再発性の嘔吐、出血、嚥下困難などの重篤な症状を伴わない場合は、FDとして初期治療を開始することもあります。

治療は?
FDに対しては、胃酸を抑える薬や消化管の運動機能を改善する薬が有効であるとされています。これと併用して、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬などが使われることもあります。また、胃の粘膜にピロリ菌がいる場合は除菌を行うことが有効とされています。例えば、健診では胃に問題はないと言われたけど、何だか胃の調子が悪いなあという方などはひょっとしたらFDが関与しているのかもしれません。気になる症状があるときは、一度内科外来でご相談ください。

医師 堀部 大輔