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日本独自のものは疑いましょう

ますます色々なモノが国境を越える現在、いい診断・治療や予防もどんどんと国境を越えます。
長い間日本独自であった薬、予防、治療には注意が必要です。本当にいいものはちゃんと国境を越えるからです。

鎮痛薬を処方する時に、日本人患者さんに「眠くなりますか?」と聞かれることがあります。日本では、市販の鎮痛薬に眠くなる成分(沈静薬)が入っていることがあるからです。眠くなった方がいいこともあるのですが、鎮痛だけして欲しいのに、おせっかいな成分が入っていることがあるのです。特にアリルイソプロピルアセチル尿素というのは海外ではもう利用されることのない成分です。

一回吸入するだけで済むインフルエンザ治療薬も欧州での臨床試験で偽薬との差がみられず、申請されていません。日本でのみ認可されている薬というのは、日本人だけ特異な体質であると考えるより、薬の効果があまりないかもしれないと考えるほうが理にかなっています。

日本で特に利用が遅れているパピローマウィルスワクチンも同じことが言えます。日本人の体質が特異である可能性もゼロではありませんが、ワクチンの効果と副反応のバランスの解釈の仕方が、日本の報道でおかしく伝わっている可能性が高いと考える方が、他国で予防されていることを上手く説明できます。

医師 林 啓一