健康診断(胃検診)の胃バリウム検査でよく指摘される所見として「胃ポリープ」があります。
胃ポリープは上皮性の半球状から球状の隆起で、一般的に多くみられるのが胃底腺ポリープと過形成性ポリープです。
胃底腺ポリープはピロリ菌に感染していない胃にできることが多い2~3mm程度のポリープで、多発することもあります。基本、悪さをすることはほぼなく、放置して構いません。ただし、極めてまれにポリープの一部がいびつであったりする場合は組織検査をしたり、異常多発を認める場合は大腸がんリスクのある家族性大腸腺腫症がないか大腸カメラを勧められることもあります。
過形成性ポリープはピロリ菌による胃炎を背景として発生することが多いもので、赤色調で大小様々です。1~2cmを超えて大きくなると、がんの発生をみることもあります。ピロリ菌除菌治療によりポリープの縮小や消失が得られることもありますが、ポリープからの出血による貧血やがん化を疑う場合は内視鏡的切除を検討します。
渡星され当院で胃検診を受診される方は、日本より20~30歳ほど世代が若くピロリ菌感染が少ないこともあり、ほとんどが胃底腺ポリープです。そのため「胃ポリープ」を指摘されても、過度に胃がんの心配をする必要はありません。しかし、除菌や切除といった治療が必要な過形成や他の腫瘍性ポリープの可能性もバリウムのみでは区別が難しい時もあるため、一度は胃カメラでの確認をお勧めします。
医師 佐野 智彦