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B型肝炎ワクチンを接種したのに 抗体陰性と言われたら

B型肝炎ワクチンは渡航前ワクチンとして推奨されていることから、接種されている方は多いと思います。予防接種により免疫が獲得できたかみる検査が抗体検査ですが、当院をはじめ多くの日系クリニックでは、健康診断でこの抗体検査が実施されています。では、B型肝炎ワクチンを接種したのに抗体陰性と言われたら、どうしましょう?

1 ワクチンが効かなかったから打ち直し!
成人の1~2割くらいにB型肝炎ワクチンが効かない不応者がいるとされています。乳幼児ではほぼすべての人に免疫ができるのに対し、加齢に伴いワクチン不応者が増えることもわかっています。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)ではワクチン不応者は再度3回の接種を行うことを推奨していますので、再接種を検討しましょう。

2 「ワクチンが効いていたけど、抗体がなくなった」は、追加接種必要なし!
過去の健康診断でB型肝炎に免疫(HBS抗体陽性)があったのに、3~5年で陰性化してしまうことがあります。ワクチンにより抗体を獲得した場合、ウイルスが体内に侵入後数週間で抗体が作られ、仮に感染が起きても肝炎の発症は防げることが証明されています。Stramer SLetal:NEngl JMed2011:364:236-247)
したがって、抗体が陰性化しても追加接種の必要はないとされています。

3 「血液や体液に接する可能性の高い職種の人」も抗体が低下しても追加接種必要なし!
しかし、個人免疫の観点からは追加接種が推奨されます。日本環境感染学会の「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第2版」では、「ワクチン接種シリーズ後の抗体検査で免疫獲得(10mIU/mL 以上)と確認された場合は、その後の抗体検査や追加のワクチン接種は必要ない」とされています。
しかし、抗体低下後のB型急性肝炎発症の報告例もあることから、個人免疫の観点からは、「血液や体液に接する可能性の高い人」は、抗体低下(10mIU/mL未満)した場合は、追加接種を選択肢の一つとして考慮されてもよいでしょう。

医師 佐野 智彦