今回からは、生活習慣病のひとつである高血圧症についてお話していきたいと思います。
まず初めに、血圧とはいったい何でしょう。心臓はポンプのように毎分60から70回くらい血液に圧力をかけ血管へ送り出すことを繰り返しています。この時、血管にかかる圧力のことを「血圧」といいます。血圧の高さは、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の硬さ(血管抵抗)によって決まります。また、血圧には上(最高)と下(最低)の二種類があります。心臓が収縮して血液を押し出した瞬間は、血管にいちばん強く圧力がかかります。これが収縮期血圧(最高血圧)です。そして、収縮した後に心臓が拡張するときには、圧力がいちばん低くなり、これが拡張期血圧(最低血圧)です。
それでは高血圧とは数値的にいくつ以上をいうのでしょうか。一般的には診察室で測定した血圧が140/90mmHg以上、家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上を「高血圧」としています。
では高血圧はどうして起こってくるのでしょうか。高血圧の90%以上は、はっきりとした原因の分からない「本態性高血圧」と呼ばれます。遺伝的因子や生活習慣が関係していると考えられています。これに対して、ホルモンの過剰分泌や腎臓病など他の病気が原因で起きてくる高血圧を「二次性高血圧」といいます。
一般的に高血圧にははっきりとした自覚症状が無いのが普通です。しかし、症状が無いからといって放置するのは危険です。高血圧を長期間放置すると、動脈の壁が硬くなったり、血管腔が狭くなる動脈硬化といわれる変化が引き起こされます。そして動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳卒中などの重大な合併症につながることがあります。
医師 中澤 哲也