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感染症の流行状況

ご存知の方もおられると思いますが、私はこのメルマガで疾病状況も担当させていただいております。そこで毎週報告していて感じることですが、ここ1年の感染症の流行状況は本当に特殊です。

まず、新型コロナウィルス(COVID-19)の流行がありました。そして、2020年7月ごろをピークとする、デング熱の流行もありました。ただ、それ以外の感染症は例年に比べて少ない印象です。
例えば、インフルエンザは2020年1月~2月にかけては流行していましたが、2020年4月以降、つまりCircuit breaker以降は当院では1例もみておりません。MOH(Ministry Of Health)の統計でも、シンガポール全体で2020年4月以降はほとんど報告されていません。

MOHの統計をみますと、さらに以下のようなことがわかります。
手足口病は、2019年は毎週10~25例報告されていたのですが、2020年4月以降は毎週5例以下で推移しています。胃腸炎症状で医療機関を受診される患者さんの数は、4月以降は例年の半分程度となっています。そのほか、麻疹、風疹、おたふくかぜ、百日咳など空気/飛沫感染で感染する疾患はいずれも例年より明らかに減少しています。

広く言われていることではありますが、人と人の接触を減らすこと、マスクや手洗いなど個人個人が感染対策を行うこと、などのCOVID-19に対する感染対策は、そのほかの感染症に対しても有用なようです。これらの感染対策を続けていくことはなかなか大変ですが、その意義は十分にありそうです。

医師 堀部 大輔