今回は生活習慣病のうち「肥満症」を取り上げたいと思います。一般的にBMI(Body Mass Index:身長m✖️身長m✖️22)という指標が25以上を肥満と判定しますが、日本肥満学会ではBMI25以上の単なる身体的「肥満」と、医学的見地から減量治療が必要な「肥満症」を区別しています。「肥満症」の判定は以下のように行います。肥満者で肥満に起因する合併症が存在する場合、具体的には糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝、冠動脈疾患、脳梗塞、骨関節疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常など。または、肥満者の中で内臓脂肪型肥満(目安としてウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上)の場合。
それでは肥満症の治療はどのように行われるでしょうか。肥満の主な原因としては生活の都市化に伴う運動不足、過剰な栄養摂取の二点があげられます。したがってこれらを改善する食事療法と運動療法メインになってきます。食事療法とは摂取カロリーを制限することです。具体的には1日のカロリーを患者に応じて1000から1800kcalに制限します。例えば脂肪組織は1g当り7kcalの熱源を有しているので、1日当りのエネルギーバランス(摂取カロリー-消費カロリー-基礎代謝)を-700kcalにすると、1日で100g減量でき、1ヶ月だと3kg減量が可能だということになります。次に運動療法ですが、種類としてはラジオ体操、ウォーキング、自転車、水泳などの有酸素運動が適しています。強度は脈拍1分間120回、運動しながら会話ができる程度が目安です。持続時間は1回に10-30分、頻度は週に3-5日以上は必要です。1週間運動を中断するとそれまでの運動効果が消失するといわれており注意が必要です。また、準備運動や整理運動を実施し、スポーツシューズを必ず履くようにしてください。これらの運動療法により脂肪組織、特に腹部内臓脂肪を効果的に減らすことができます。
医師 中澤 哲也