顎関節症ということばから何を連想しますか。あごが痛くなること、それ以上のイメージはなかなかしづらいのではないでしょうか。
顎関節症の実態は、口の開け閉め時に顎が痛くて食事がしづらい、口が大きく開けられない、顎を動かす時に例えばジャリジャリした音が聞こえる、顎の周囲筋肉が異常に疲れるなどの症状が複合的に起こることをいいます。
これまでは咬み合わせ異常が原因とされてきましたが、最近は顎関節を動かす筋肉が弱いことから引き起こされるケースや、顎関節に伝わる過剰な力やストレスが影響するケースも指摘されています。過剰な力とは、スポーツ時や大きな力を要する作業時に引き起こされる噛み締め、歯ぎしりや食いしばりなどのことです。歯ぎしりや食いしばりは就寝時に発生することが多く、また、例え目覚めている時でも無意識で行っていることがあります。
歯科での治療方法としては、痛みが強い場合は痛み止めの薬を飲んだり、マウスピース(ナイトガードとも呼びます)を作製し主に就寝時に使用してもらいます。さらに、筋肉のセルフマッサージ、習慣や癖を意識して修正する行動療法を行い症状緩和を目指します。例えばパソコンのモニター周囲など目に留まりやすい場所に、食いしばらない!上の歯と下の歯を触れさせない!などと書いた付箋を大量に貼っておくのも一つのアイデアです。
気づかぬうちにストレスを溜め込んでしまわぬよう日頃から気を配り、肩の力を抜いて生きてゆけるとよいですね。
医師 畑 茂