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性感染症(STD)6 マイコプラズマ・ウレアプラズマ

マイコプラズマ・ウレアプラズマとは、性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス、キス)を感染経路とする性感染症のひとつです。
男性は尿道・のど、女性は腟・のどに感染します。

2012年から日本でも検査が可能になったため、まだ知名度は低く(私の学生時代にはまだ性感染症の教科書にはありませんでした)、検査を行うとクラミジアや淋病の感染率と同じように高い確率で感染が認められています。咳がひどくなる風邪症状や肺炎でマイコプラズマという名前を聞いたことがあると思いますが、性病のマイコプラズマの原因菌とマイコプラズマ肺炎の原因菌は別物です。

マイコプラズマ・ウレアプラズマは性器と性器、口腔と性器の接触を介して伝染します。複数のパートナーがいる方と20代までの若年層、喫煙者がハイリスクです。マイコプラズマとウレアプラズマは、出生時または子宮内でも、母親から赤ちゃんに伝染することがあります。キャリアの母親から赤ちゃんへの垂直感染率は18~55%ですが、流早産の原因や、生まれたばかりの赤ちゃんに肺炎を起こすことが分かっています。また、不妊症の原因にもなり得ます。

女性の症状はクラミジアのときと同様にほとんど症状が無いことが多いです。症状がある場合は、「おりものがいつもと違う感じ」が最も多く、腟のかゆみ、排尿障害、下腹部の違和感です。おりものは、膿性、粘液性、時に子宮頸部の脆弱性による出血もみられます。
男性の場合は排尿障害、尿道の掻痒感、時に粘液膿性分泌物があります。

診断は腟分泌物(綿棒での拭い)検査で行い、治療は抗菌薬の内服を行い、その後陰性化を確認します。
性行為の際(オーラルセックスも含む)はコンドームの着用を正しく行うことで感染リスクを大幅に低下させることが出来ます。また、不特定多数の人との性的接触は感染リスクが高くなりますので避けるようにすることも大事です。症状がなくても感染している場合があるのでパートナー様と共に定期的な検査を受けて、早期の発見と治療を行うことが感染の拡大を防ぐためにも重要です。

医師 長谷川 裕美子