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エッセイ「外科医の適性」

業務形態の違いから、日本でしていたような手術からは少し遠ざかっている私ですが、その反動からかプライベートでは細かい作業が趣味になりました。今はドールハウス作り、少し前は子供が小さかったのでキャラクター弁当作りが趣味でした。どちらもピンセットや小さいハサミなど、手術で使うような道具を使うのですが、SNSを見ていると世の中にはなんとまあ細かい作業が得意なお母さんたちが沢山いること!

精度の高い芸術作品のようなお弁当が毎日アップロードされていて、一体どうすればこんなのが作れるの!?といつも驚きと羨望の思いで眺めています。きっとこういう人たちは、脳外科だと動脈瘤クリッピングの手術とか、整形外科なら切断指再接着などの細かい作業をやらせたら確実に巧いんだろうな、と勝手に妄想しています。世の中には才能あふれる人たちが沢山いて、自分の仕事と一見関係なさそうな人であっても、仕事と関連づけて見てしまい感銘を受けることがしばしばです。

加えて整形外科では二次元の画像から三次元をイメージすることが多いので、空間認識能力の高い人は羨ましいと思います。この能力はある程度訓練できる一方、生まれつき能力が突出しているGiftedもいるみたいで、とても興味深いです。その天賦の才能が早い段階で気づかれるならば、ゴッドハンドで有名な外科医や、高名な建築家や芸術家がたくさん出現するのかもしれません。

・・・と、そんなことを考えながら、私は日々MRIの断層画像から頭の中で解剖構造や病変を三次元的に構築するのに苦労しております。サランラップを皿ぴったりの長さに切ったり、箱ぴったりに物を入れる日常的な所作を「練習する」ことで、凡人なりに空間認識能力を鍛えようと試みております。(笑)

医師 長谷川 典子