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祖母と自閉スペクトラム症

TVでプロレス中継が流れ、ふと、プロレスファンだった祖母のことを思い出した。
祖母は変わった人で、こだわりの強さや融通のきかなさが尋常ではなかった。親戚は皆、そんな祖母を精神病だと言っていたが、現代の診断では自閉スペクトラム症だろう。

東北の田舎のお嬢さまだったらしいが、その頑固さを初婚の相手にあきれられて離縁され、30代の時に、妻を亡くした私の祖父に嫁いだ。すでに祖父には幼い子供が複数おり、その子達の面倒を見なければならないという悪条件の再婚だったはずだが、祖母の父親という人は、誰ともうまくやれない祖母の性格を知り尽くしており、どんな相手でもいいから、とにかく祖母を引き取ってもらいたいと必死だったそうだ。祖母はこの時、何があっても婚家を出るなと父親に厳命されたという。

祖母が子育て上手なはずもなく、昔話に出てくるような恐い継母となり、その後も長年、子供たちや祖父と喧嘩やトラブルが絶えなかった。夫婦喧嘩は激しく、祖父は老齢になってもなお、何とか祖母と離縁したいと考え、出ていけと何度も離婚を突き付けたが、祖母は実父の言いつけを生涯守った。長期記憶に優れ、決まり事に忠実な自閉スペクトラム症の特性の賜物だと思う。

(自閉スペクトラム症の状態は人によってかなり多様です。上記内容が代表するものではないことにご留意下さい。)

医師 日暮 真由美