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溶連菌感染症

幼稚園や小学校でときどき流行する病気のひとつに、溶連菌(ようれんきん)感染症があります。子供だけではなく、大人でも発症します。典型的には、高熱とともにノドや扁桃腺が腫れて、強い痛みが出ます。今回は、この溶連菌の特徴についてお話ししたいと思います。
溶連菌には多くの種類があり、その中で特に問題となるのはA群溶連菌という種類なのですが、一般的に単に「溶連菌」とも呼ばれます。この溶連菌は、実は常在菌の一つとして、健康な人でも気づかずに保有していることもあります。何も症状を起こさなければ特に治療の必要はありませんが、高熱・ノドの痛み・皮膚炎・腹痛など症状があれば、感染症として治療が必要になります。どうして症状が出る人と出ない人がいるのかは、未だにわかっていません。激烈な進行を示して命にかかわることもあり、「人食いバクテリア」などと言われたりしますが、体力や免疫力が低下した方が溶連菌感染症にかかった場合は注意が必要です。
治療の基本は抗生物質の使用です。治療を開始すれば、比較的早く他人への感染の危険性もなくなります。大事なことは、途中で抗生物質の服用をやめないことです。溶連菌が感染症を起こした場合には、菌を除菌することが必要です。先進国では稀になってきましたが、溶連菌感染症後に心臓や腎臓を含めた大事な臓器に問題を起こすことが知られているためです。
現在では、溶連菌感染症を短時間で判定できる検査もあります。症状が心配な場合は、医療機関でご相談ください。

医師 千原 康裕