何の前兆もなく、目が閉じにくくなって乾燥したり、飲み物が口からこぼれるようになったりして、顔の動きが悪くなる病気があります。生活に困るとともに、外観的にも顔の左右対称性がくずれるため、ショックも大きい病気です。顔面神経麻痺と呼ばれる病気です。
これは、顔を動かす顔面神経という神経が痛んでしまうことで起きます。原因がわからない場合もありますが、もともと人間が体内に持っているヘルペス属のウイルスが関係している場合や、稀ですが、脳や脳血管に問題があることもあります。
どの年代の方にも起きることがある病気ですが、40代の方に多いと言われています。何が原因で起きた症状か調べるとともに、早めの治療が重要な病気です。早めの治療ほど、治りもよい傾向となります。治療では、神経の腫れや炎症を抑えるステロイドというお薬を中心に、抗ウイルス剤などを併用することもあります。また、眼の保護薬も必要です。
顔面神経は聴覚・味覚・平衡感覚の神経と同じ場所にあるため、顔面神経麻痺では、難聴・味覚異常・めまい感を伴うこともあります。おかしいな、と思う症状がある場合は、早めにご相談ください。
医師 千原 康裕