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腸脛靭帯炎

前回のコラムではランニング障害についての総論をお話ししました。そこで今回は、その一つである腸脛靭帯炎(ランナー膝)についてお話をしていきたいと思います。

腸脛靭帯とは、腸骨(骨盤の骨)から太ももの外側を通って脛骨(すねの骨)に繋がる長い靭帯のことで、膝の曲げ伸ばしをスムーズにするとともに、横方向への不安定な動きから膝を守る役割を果たしています。ランニング後に膝の外側を押すと痛かったり、太ももの外側に張りを感じたり、ランニング後半の特に下り坂で痛みが強くなる場合は腸脛靭帯の炎症を疑います。

早い段階だとランニングを数日休むと治りますが、我慢してランニングを続けていると、痛くて膝が曲げ伸ばしできなくなります。特徴的なのは、地面を蹴ったときに痛みが起こることです。また、踵の外側がすり減った靴をずっと履いていると体重が外側にかかりやすくなるため、腸脛靭帯に緊張がかかり発症しやすくなります。靭帯の柔軟性を高めることはこの病態の予防になるため、ランニング前にはしっかりウォームアップ、ストレッチを行うようにしましょう。炎症が強い場合には安静とアイシングが必要ですが、慢性的な場合にはストレッチ前に温めると効果的です。

医師 長谷川 典子