前回はそろそろ赤ちゃんがほしいと思ったときに産婦人科を受診する前に自分でやれること、として基礎体温表をつけることを書きました。今回は不妊ドック(健診)についてです。
不妊検査は1日ですべて行えるわけではありません。月経周期によって検査ができるタイミングはそれぞれ異なります。まずご自身で一番わかりやすい受診のタイミングとしては生理中です。生理2ー4日目くらいの出血の多い時期に受診してください。
女性ホルモン(FSH、LH、エストラジオール、プロラクチン)、甲状腺ホルモン(TSH、FT4)の血液検査を行います。この値によってホルモンバランスや卵巣機能の評価、不妊の原因となる甲状腺疾患やその他の疾患の有無を確認します。また、ご希望に応じて卵巣予備機能(いわゆる卵巣年齢)を評価する抗ミュラー管ホルモン(AMH)の検査もできます。AMHは卵巣の中に残っている卵子の在庫の目安になりますのでかなり低ければ不妊治療を急いだ方が良いと判断します。
次に生理6ー9日目の生理直後のタイミングで子宮卵管造影検査を行います。これは子宮内にバルーンカテーテルを挿入し、カテーテルより子宮内に造影剤を注入します。造影剤が子宮内で広がり、卵管に入っていく様子をレントゲン写真で確認する検査です。卵管に入った造影剤が卵管采、腹腔内へ広がっていく様子もわかり、卵管がきちんと通っているのかを確認します。これにより子宮内癒着の有無、子宮内病変(ポリープや筋腫)の有無、卵管狭窄・閉塞、卵管水腫などの有無が確認できます。しかし卵管造影検査は卵管の疎通性は評価できますが、腹腔内癒着の有無や卵管キャッチアップ障害の評価はできません。ネットの書き込みなどに「気絶するほど痛かった」などと書いてあるのを見かけますが、痛みの感じ方には個人差があるので一概には言えません。一般的に卵管に障害がなければほとんど痛みはありませんので安心して受けてください。
次回は排卵期の検査についてお話します。
医師 長谷川 裕美子