今回は体外受精第4弾として、「凍結胚移植における自然周期とホルモン補充周期の違い」をお話していきます。
凍結胚移植とは?
採卵で得られた受精卵を一度凍結保存しておき、子宮内の環境が整ったタイミングで移植する方法です。
凍結胚移植に向けた準備法は2種類
移植のためには、子宮内膜を十分に厚く・ふかふかにして、胚を受け入れやすい状態に整える必要があります。
この準備の方法には、主に以下の2つの方法があります。
1、自然周期
名前のとおり、「自分の自然な排卵のリズム」に合わせて移植のタイミングを決める方法です。
・排卵がある方に向いている
・内服薬や注射がほとんど不要
・子宮の状態が自然に整うので、身体への負担が少ない
排卵の時期をしっかり予測するために、数回の通院が必要になりますが、ホルモン剤をなるべく使いたくない方や、周期が比較的安定している方に向いている方法です。
2、ホルモン補充周期(HRT周期)
こちらは、エストロゲンとプロゲステロンというホルモン剤を使って人工的に子宮内膜を整える方法です。
・排卵が不安定な方や無排卵の方でも実施可能
・内膜の厚さをコントロールしやすい
・スケジュールが立てやすく、計画的に移植日を決められる
一方で、ホルモン補充のために毎日薬を飲んだり、場合によっては注射が必要なこともあり、体調面や副作用に注意が必要です。
自然周期もホルモン補充周期も、妊娠率に明確な差はないと言われています。
ですので「その人の体質や生活スタイルに合っているかどうか」がとても重要です。
・通院回数を減らしたい/予定を立てやすくしたい→ホルモン補充周期
・できるだけ自然な形で進めたい/薬を使いたくない→自然周期
また、過去の移植で着床しづらかった方には、「着床の窓(ERA検査)」などを調べたうえで、より適したタイミングを見極めていくこともあります。
どちらの方法にもメリット・デメリットがあるので、医師とよく相談しながら、自分に合った選択をしていくことが大切です。
医師 長谷川 裕美子