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口呼吸と鼻呼吸

口呼吸と姿勢の関係について以前お話をしましたが、今回は口呼吸によって起こり得る様々な症状についてお話ししたいと思います。

呼吸には鼻呼吸と口呼吸があります。どちらも空気を肺に運ぶ行為ですが、口呼吸は口からダイレクトに冷たく乾燥した空気や、埃や塵の異物が直接肺に届いてしまうのに対し、鼻呼吸は鼻毛や粘液で異物をろ過し、鼻甲介や鼻中隔といった鼻の中の構造物が冷たく乾燥した空気に速やかに湿度と温度を与え、その先の上咽頭部のリンパ組織が更に肺への異物の侵入を防ぎます。

歯科医は患者さんの口腔内を見ることができるので、患者さんが口呼吸をしているかどうかの判別は容易です。口呼吸は、歯肉の腫れ、歯周病の悪化、歯石付着、着色、むし歯、口臭、口内炎、歯列不正、口角が垂れるなどの原因となりますが、患者さんの口腔内を見ていると口呼吸をしている人がかなり多く、そして自分が口呼吸をしていることに気づいていない人もかなりいらっしゃいます。
口腔内だけでも様々な症状が出る口呼吸ですが、全身の健康にも影響を及ぼします。口呼吸は歯周病のリスクを高めますが、この歯周病菌が脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、糖尿病の悪化、早産や低体重児出産を引き起こしたり、誤嚥性肺炎の原因にもなります。
先日参加した学術大会で、鼻呼吸を指導したことにより掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)やアトピー性皮膚炎、花粉症、いびき、睡眠時無呼吸状態を軽減させることができたという発表をされた先生がいらっしゃいました。

同じ呼吸であれば口呼吸より鼻呼吸の方が良いと思いませんか。1日2万回の呼吸は、口からではなく鼻から行いましょう。

歯科医師 畑 昌子