唐突ではありますが、唾液が担っている役割をご存知ですか。
一般的に思い浮かぶイメージは、食事の時に出てくるもの、垂れてきては衣服を汚すもの、運動時には口の中がネバネバして不快な思いをさせるもの、といったものでしょうか。
我々の体に存在していて当たり前の唾液ですが、実はさまざまな有用な役割を持ち合わせている液体ともいえます。
唾液は唾液腺から分泌されます。耳の近くの耳下腺、舌の近くの顎下腺、舌下腺などから湧き出してきて、口腔内で混じり合います。
唾液の作用として、
潤滑作用:口の中を潤わせ、食べ物を柔らかくし飲み込みやすくしたり、しゃべる時の発音をスムーズにする助けをします。
自浄作用:口の中の汚れを洗い流し、ばい菌の繁殖を防ぎます。
緩衝作用:飲食後には口の中が酸性になり、むし歯になりやすくなりますが、一定時間で中和させることが出来る力を持っています。
抗菌作用:ばい菌に抵抗し、粘膜を保護します。
組織再生作用:ムチンという成分が粘膜の修復作用を担います。また、ヒスタチンと呼ばれる唾液タンパク質が、血管新生や細胞同士の接着などに影響し、傷の再生を促進しているということもわかってきました。
ごく身近にある唾液ですが、まだまだ解明されていない秘密もありそうです。いざ病気で唾液が出なくなったら(もしくは唾液の流量が減ったら)、唾液のありがたみを実感するのかもしれません。
歯科医師 畑 茂