小生はタバコを吸って肺がんになった大人より、将来のある子供を診たいと思い小児科を選びました。しかし医師となってからそれほど単純なことではないと分かりました。勤務する病院によって、また、勤務する時間帯によって、タバコ臭い子供の受診
の割合が大きく違うのです。
経済的困窮などの社会的困難のために治療を中断してしまう人や、健康的な生活習慣を維持できない人は少なくありません。個人には変えがたい社会的な要因が、健康格差の原因となることが広く知られるようになりました。日本プライマリ・ケア連合学会は、健康格差の原因となる社会的状況にある人々のケアに関して、健康に関わる学会や職能団体が責任を持ち対応すべきであるとの考えのもと、このたび「健康格差に対する見解と行動指針」を2018年3月25日に策定し、6月15日にウェブサイト(https://www.primary-care.or.jp/sdh/ )にて公開しました。
シンガポールでは比較的恵まれた駐在の家族が多いですが、中には経済的社会的な困難なケースもあります。行政からのサポートはないので、行動指針を意識して臨床、教育、アドボカシーを続けて行きたいと思います。
医師 林 啓一