新型コロナウィルス(COVID-19)に対するCircuit Breakerが終了して2か月以上経過しました。現在のところ、シンガポールでは幸い市中感染はかなり抑え込まれている印象です。しかし世界的にはロックダウン解除後に感染が再拡大する現象もみられ、まだまだ注意が必要な状況です。
では、このロックダウンなどの社会的距離を確保する政策はどのくらいの意義があったのでしょうか。
OXFORD大学のNazul Islam氏の論文によると、どうやら社会的距離を確保する政策(Pysical distancing interventions)は一定の効果を認めたようです。この論文ではPysical distancing interventionsの例として1.学校の閉鎖、2.職場の閉鎖、3.公共交通機関の閉鎖、4.集会やイベントの制限、5.移動の制限(ロックダウン)の5種類の政策を取り上げ、それらが149の国と地域において新型コロナウィルスの発症率にどう影響したかを検討しています。その結果、これらの政策によって発症率が平均して13%減少したとのことです。(なお、公共交通機関の閉鎖は、ほかの4つの政策が行われていた場合あまり追加の効果がなかったようです。)
もちろん1つの研究だけで結論付けることはできません。また、まだ新型コロナウィルスに関しては有効な治療薬やワクチンは開発されておらず、今後もひとりひとりが感染対策を継続する必要があります。ただ、我々がCircuit Breakerで頑張ったことは無駄ではなかったと思うと、もう少し頑張ろうかな、という気分になれる気がします。
なお、この論文は以下のウェブサイト(https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2743)で読むことができます。興味のある方はご参照ください。
医師 堀部 大輔