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ワクチン接種に対する葛藤

突然ですが、新型コロナウィルス(COVID-19)に対するワクチン接種はうけられましたか?シンガポールではすでに住民の80%がワクチンの2回接種を完了したとの報道がありましたので、多くの方は接種されていると思います。ただ、新しいワクチンでもあり、実際に接種するにあたっては多少なりとも葛藤のあった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところで、2021年7月31日のLancet Regional Health Western Pacific電子版に、30000人の日本人を対象としたワクチン接種に関する意識調査の結果が掲載されました。具体的には、アンケートを用いてCOVID-19ワクチン接種に肯定的な人、否定的な人、迷っている人の割合とそれぞれのグループの特徴について調査し、その結果について解析した論文となっています。この論文によると、接種を希望するかという質問に関して「はい」と答えた人が56.1%、「わからない」が32.9%、「いいえ」が11.0%であり、半数近くの人がワクチン接種に関して迷っているかまたは否定的という結果でした。
なお、この論文には以前ほかの地域で行われた同様の調査の結果も掲載されていますが、それによると諸外国でもワクチン接種に肯定的な人がおよそ60%、否定的な人が20%との結果ですので、どうやら世界的にみてもワクチン接種に悩まれる方は多いようです。

なお、この論文ではそれぞれのグループに関して様々な検討が行われているのですが、例えば心理学的な背景を分析した結果では、「わからない」と答えたグループには、COVID-19のリスクを低く考えている、副反応などのワクチンの短所に対する不安が大きい、ワクチンを承認した厚生労働省などに対する信頼が低い、普段からインフルエンザのワクチンをうけていないといった傾向があり、「いいえ」と答えた人も同様の傾向があるようです。なんとなく納得できる結果ですね。その他にもいろいろ興味深い解析が行われていますので、関心を持たれた方はぜひ原文をご参照ください。

https://www.thelancet.com/journals/lanwpc/article/PIIS2666-6065(21)00132-2/fulltext

医師 堀部 大輔