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マインドフルネスアプリの有用性

「マインドフルネス」をご存じでしょうか?

マインドフルネスとは「今この瞬間の体験に気づき、ありのままにそれを受け入れること」です。私たちは、「今」を生きているにもかかわらず、ついつい「過去」や「未来」のことを考えてしまいます。とくに、過去の失敗や未来の不安といったネガティブな思考に囚われがちであり、当然ながらこういったネガティブな思考は自身のストレスを増幅してしまいます。この状態から抜け出し、心が「今」に向いた状態がマインドフルネスです。

心をマインドフルネスの状態にする手段として、例えば瞑想があります。マインドフルネス瞑想は、脳を活性化させ、ストレスをたまりにくくしたり、仕事のパフォーマンスを上げる効果があるとされています。私個人は継続的にマインドフルネス瞑想を実践しているわけではありませんが、イライラしているときに心を鎮める効果は確かにあるように思います。

さて、最近スマートフォンやスマートウォッチのアプリの中にマインドフルネスに関連したものが多くみられます。例えば、アップルウォッチをお持ちの方は、はじめからマインドフルネスのアプリが入っているので目にしたことがある方は多いと思います。

では、これらのアプリはどの程度効果があるのでしょうか。これに関連した論文がありましたので紹介させていただきたいと思います。(https://www.jmir.org/2023/1/e39128/PDF

この論文では、筆者らは以前に発表された論文を検討し、大学生を対象として、スマートフォンやアプリを利用したマインドフルネス瞑想(筆者らはこれをMobile Mindfulness Meditation(MMM)と呼んでいます)が有効であるかどうかを、従来のマインドフルネス瞑想と比較することで評価しています。10本の論文から958名の大学生のデータを抽出し検討した結果、MMMは従来のマインドフルネス瞑想よりもストレス、不安に対してより有効であり、うつ病に関しては従来法と同等に有効であったと結論づけています。なお、筆者らはMMMの方が成績が良い理由として経済性や、時間的・空間的な制限が少ないこと、他人にみられることなく利用できることなどを挙げています。

データを検討された人数が少ない、使用されたスマートフォンやアプリが統一されていないなどの問題点はありますが、アプリの方が従来の方法よりもさらに有用かもしれないというのは驚くべきことだと思います。もしご興味が湧かれましたら、ぜひ一度マインドフルネスのアプリを試してみてください。

医師 堀部 大輔