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運動量と歩数の目安

適切な運動が健康に良いことはみなさまご存知だと思います。WHOのガイドラインでも、1週間に150―300分の中強度の有酸素運動、もしくは75―150分の高強度の有酸素運動が推奨されています。ただ、そう言われてもどのくらいの運動を目安にすればいいかはちょっとわかりにくいように思います。そう思ったかどうかはわかりませんが、中強度から高強度の運動(Moderate to VIgorous Physical Activity:MVPA)は歩行に換算するとどの程度の歩数に相当するのかを検討した論文がありましたのでご紹介いたします。

この研究では、1992年―2004年に米国で行われたほかの研究で集計されたデータを利用し、MVPA時間および歩数と、総死亡および心血管疾患の関係について検討しています。対象となったのは14399人の女性で、平均年齢は71.8歳でした。MVPA時間の中央値は62分/週で、1日の歩数は中央値で5183歩であり、MVPA時間と歩数には相関関係がみられました。
結果ですが、9年間の追跡中に1330人(9.2%)が死亡し、588人(4.1%)が心血管疾患を発症しました。MVPA時間と歩数のどちらについても、数字が大きいほど死亡率や心血管疾患の発症率は低いという結果でした。
この結果から筆者らは、運動量の目安として、時間でも歩数でも使いやすい方を選んでもらえばよいという仮説が支持されたと結論しています。

正直、今はスマートウォッチを使えば運動量のデータは取れるのですが、歩数というのはわかりやすい指標だと思います。さらに、最新機器に頼らず、昔からある道具でできるという点が興味深いです。なお、日本の厚生労働省は日常生活における1日あたりの歩数の目標として8000歩を推奨しています。こちらも参考になさってください。

医師 堀部 大輔