これまで2回にわたってインターネットがいかに不正確な情報にあふれているかについてお話してきました。善意であっても離乳食にはちみつや黒砂糖を使うレシピをアップする人がいたり、利益を目的としていても入り口は病気について丁寧に説明しているサイトも数多く存在します。今回は、締めくくりとして症状や病気を検索する時のコツをお伝えいたします。
逆説的ですが、もっとも重要なことはネットの束縛から逃れることです。最近、乳児検診をしていると、子どもの仕草などをネットであれこれ検索しては心配を募らせている親御さんが増えている印象があります。ネットの世界は無限に広がっているため、いったんはまってしまうと際限なく検索を繰り返していくことにつながります。本来、子どもと向き合って成長を慈しみ、育児を楽しむはずの貴重な時間が、子どもをおいてパソコンに奪われてしまうと本末転倒になってしまいます。現在は何かあると「まず検索」という習慣が一般的ですが、病気や子育てに関してネット空間はフェイク情報に満ち溢れているため、検索する前にまず一歩立ち止まることが重要です。本当に必要な検索か、また何が知りたいのかをしっかり自問してからパソコンを開くようにすると、目的がはっきりするので迷路に迷い込むリスクが少なくなります。
検索結果が表示されてもあわてて開かず、ざっとどんなサイトが出てきているのかを検査結果画面の1ページ目だけでなく、数ページにわたってざっと眺めてみましょう。そのなかで、公的な機関や団体が運営しているものは信頼性が高いです。見た目がこぎれいでも、だれが責任をもって書いているのかわからないまとめサイトの情報は注意してみる必要があります。また、アップされた日付にも気を配りましょう。
心配なことがあるときは、身近な専門家である小児科医にお気軽にご相談ください。直接質問をしていただくことで、ネットでは得られない個々の環境や状況に応じた回答を差し上げることができます。
ネットの使い方についてはいったん終了し、次回からは医療の不確実性について述べてみたいと思います。
医師 長澤 哲郎