感染症3 ヘルパンギーナ
2021年1月12日
シンデレラ ガラスの靴はステキでない
2021年1月26日

乱視

「ものがダブって見える」症状を「複視」といいます。たとえ見えていても、ダブっているのは辛いことです。スマホの操作や車の運転も、気持ちが悪くてできません。

複視は、原因により大きく2つのパターンにわけることができます。その見分け方とは、片目だけでもダブるか、それとも片目だけならダブらないかです。言い換えると、原因が眼球そのものにあるか、それとも両方の目の位置関係にあるのかということです。

片方の目を閉じればダブりが改善される場合は、両方の目の向きがずれている眼位異常により、左右の目に映る像が大きく異なっているのです。そのため、脳に送られた左右の目の情報が、うまく1つにならず、2つにダブって見えます。代表的なものは「斜視」ですが、ある方向を向いたときだけ二重に見える、眼球運動障害の場合もあります。

一方、片目になっても変わらずダブって見えるという場合は「乱視」です。乱視には、角膜が原因の場合と、水晶体が原因の場合があります。角膜乱視はメガネやコンタクトレンズなどで矯正できますが、水晶体乱視は矯正では治せません。水晶体に眼内レンズを入れる白内障手術が必要になります。乱視のない角膜は、虫メガネのようなきれいなドーム状です。円形のドームは、どの直径のカーブも同じですので、光は1点にフォーカスします。一方、乱視の強い方の角膜は、このドームを上から少し押しつぶして、横に広がった楕円形のドームにすると、縦軸はカーブがきつくなり、光は強く屈折します。反対に、横軸はカーブが緩やかになって、屈折は弱くなります。このため、焦点が2つにわかれてしまうのです。これが二重に見える正体です。乱視は程度によって、眼精疲労などの原因にもなりますので、眼科での精査をおすすめします。

医師 岡野 喜一朗