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感染症3 ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、発熱と喉の痛みを特徴とする小児の代表的な感染症です。熱があるのに咳や鼻水が目立たたず、また喉の痛みで食事もとれないという患者さんの口の中を診せてもらって、喉に水疱や潰瘍がしっかり認められればほぼヘルパンギーナで間違いありません。名前が少しとっつきにくいですが、水疱を意味する「ヘルペス」に咽頭痛を意味する「アンギーナ」を単純に並べて作られました。主に1才から5才くらいの小さな子どもに多く見られ、日本では梅雨から夏にかけて流行する「夏かぜ」の一つとされていますが、熱帯のシンガポールではインフルエンザと同様に1年中いつでも見られます。前回お話しした手足口病と原因となるウイルスが類似しているため、手足の発疹が微妙な時には診断に迷うこともあります。また、このような症状を引き起こすウイルスが何種類かあるため、複数回罹ることも手足口病と似ています。

症状は突然の高熱に喉の痛みが加わり、食事をしようとすると痛みのため飲み込めず、つらい状況が続きます。無理に食事をとらせようとせず、のど越しの良いゼリーなどを試してみてください。水分摂取が重要ですが、酸っぱいものは喉にしみるため甘みのあるジュースやさっぱりした麦茶などを与えてください。ストローを使うと口の中を刺激せず、うまく飲めることがあります。いずれにしても、高熱と経口摂取不足から脱水になるリスクがあるので、尿の回数と量には注意を払う必要があります。

治療は、ウイルスそのものに有効な薬がないため対症療法になります。熱や痛みに関して解熱・鎮痛作用のある薬を使い、潰瘍が口に広がっている場合は炎症を抑える塗り薬を併用することもあります。数日たつとピークを越えて楽になってきますので、そこを乗り切れれば食欲も戻ってきます。飲食ができるようになれば登園は可能ですが、シンガポールの場合、咽頭に潰瘍が残っているときは手足口病を疑われて登園許可書を提出するよう言われることもあります。

医師 長澤 哲郎