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学童の近視治療 いつやるの ?今でしょ!1

昨年からのCOVIDパンデミックの影響で、シンガポールでもサーキットブレーカーという生活行動規制がだされ、屋外への外出禁止、オンライン授業の開始など、親御さんも子供の目の不調を心配されているかと思います。学童、とりわけ、小学生の近視の増加が止まらない状況です。今回から数回にわたり、近視について、その治療など最新のエビデンスをご紹介していきたいと思います。

本やゲームなどを近くの距離でやり続けた結果、筋肉の伸び縮みがうまくできなくなり遠くが見えづらくなる、これが近視の始まりです。文部科学省学校保健統計調査報告書によれば学校検診における「裸眼視力1.0未満のもの」でその原因が「近視」及び「近視性乱視」の割合は、小学生で約46%、中学生で約73%、高等学校生で約91%でした。日本を含めたアジア人は近視が多い人種と言われてますが、近視人口の増加は、欧米にもその傾向が見られます。米国National Healthand Nutrition Examination Survey(NHANES)でも、1972年の調査と比べて、2004年の調査では、12-54歳の近視有病率は25%から41.6%に大幅に上昇していたと報告されました。このように近視人口は世界的に増加傾向にあり、このわずか十数年で近視人口が急増していることを考えると、遺伝的因子の影響よりも環境因子の影響により発症、進行すると考えられています。この環境因子というのはいうまでもなくパソコン、スマホや机上の勉強などの近業作業です。反対に屋外活動時間が長いと近視のリスクが低いということも報告されています。
今後もオンライン授業や外出規制などが再度行われると思います。今後も注意が必要と思われます。

次回は近視進行のメカニズムについてご紹介いたします。

医師 岡野 喜一朗